こんにちは司法書士・行政書士の増井です。
数年がかりで標題の手続を完了させました。
外国人と養子縁組し海外に在住で連絡のつかない相続人Aのため不在者財産管理人が選任され、代償金が供託されていたところ、依頼者から供託金を取り戻したいとの依頼でした。
当初失踪宣告を申立て、供託金を依頼者が相続できないか検討し、失踪宣告をしました。失踪宣告の手続はとても長いものです。
失踪宣告後の供託所の回答は被相続人をAとし、養親、実親で遺産分割協議をして還付せよというもので、養親と連絡がつかないので難しいなと考えていたところ、NGOを通じてAの生存が明らかになりました
そこで、Aに関して失踪宣告の取消を申し立てようとAの最後の住所地であるX家裁に相談したら、東京家裁に申し立ててくれとなりました。結局X家裁に移送されました。
生存の証拠として、NGOやAから帰化証明、養子縁組当時の家裁の審判書の謄本、本人の免許証やパスポートなどを和訳とともに提出しました。このころはグーグル翻訳の便利さを知らずに、英語辞書を片手にうんうんうなりながら訳文を作っていました。Aとのやりとりもたどたどしい英文で、Aも困っていたと思います。しばらく立ってグーグル翻訳を利用するようになってやりとりもかなりスムーズになりました。
失踪宣告が取り消されたので、法務局X支局の供託所に照会したところ、数か月後に返事があり、懇切丁寧に必要書類を書いたFAXが送られてきました。
あとは、Aに宣誓供述書を作ってもらったり、結婚証明書を取得してもらったり、戸籍を揃えたりしました。困ったのは、Aの帰化証明の原本提出を求められたことでした。某国ではどうも再発行ができないようで、Aが日本に帰化証明を郵送することをためらったのです。供託所にお願いして、帰化証明だけは即日還付してもらいました。
供託金は代理人口座に入金してもらい、海外送金の手続をしました。銀行と打ち合わせをしながら書類を作成し、後日窓口に行きました。1週間程度で海外送金でき業務完了しました。
大変な手続である一方、この案件は経済的な事情により離ればなれになってしまった親子が50年ぶりに連絡を取り合い、来年ついには再会を果たすというドラマのようなお話です。このような手続に携わることができて司法書士冥利に尽きるというものです。